2003年6月1・15日合併号

3.国民負担


奥田経団連会長が年初に発表しました『奥田経済ビジョン』では、来年4月から消費税を1%引き上げ、その後毎年1%ずつ引き上げられることになっていました。

この発表があった後、日本国民はどのような反応を示したでしょうか?
全くというほど反応は示しませんでした。
この“打ち上げ花火”は、いわば、偵察衛星的なものでしたが、日本国民はただ、眺めるだけで、何も反応を示さなかったのです。
そこで、政府・財務省は、このように判断した筈です。
『日本国民は、増税・負担に何も反発はしない。更に、徐々に増税・負担増を打ち出して様子を見てみよう』と。

現在検討されています≪課税案≫の一部は以下の通りです。

1) ≪失業給付金≫
  失業給付金は2001年度に総額約2兆2500億円が支給されていますが、これに【所得税】を課税。

理由:これまで所得税は課税されていなかったが、リストラなどで職を失っても失業給付に甘えて職を探さない人が増える問題もあり、課税の公平性を保つため所得税の課税対象とする。
2) ≪遺族年金≫
  遺族年金(夫を亡くした妻などが受け取る年金で、2002年度には585万人に約6兆円を支給)も課税対象とする。

理由: 高額所得の高齢者が多額の年金を受け取る一方で、若年層の将来の年金受給に不透明さが増している為。
3) ≪パチンコ・競馬≫
  どのような形の課税になるかいまだ不明ですが、少なくとも競馬・パチンコ・パチスロ・競輪・競艇ファンは、かなりの【遊興税】を課せられることになります。

次に、実質増税になる≪課税案≫です。

1) 65歳以上の公的年金等控除廃止や老齢者控除の縮小
2) 給与基礎控除の削減
3) 相続税基礎控除の削減

上記のように、今の日本政府は、『ここまで課税をするか』というところまで考えていますが、これにも今のところ日本国民は殆ど反発はしていません。
このままいけば、上記の課税案は、誰の反対もなく決定されることになるでしょう。

ところが、これだけの<課税>でも、今の日本の国家財政には、焼け石に水なのです。
何せ、一時は60兆円もの≪税収≫があったにも拘わらず、現在は≪40兆円≫にまで激減しており、この先更に景気の落ち込みで、税収は大幅に落ち込むことは避けられないのです。

にもかかわらず、国家予算はいまだに≪80兆円≫を越えており、年間40兆円近いアンバランスとなっており、もはや持続不可能な状態に陥りつつあります。
考えても見てください。
現在でも、国・地方あわせて、700兆円を越える<借金>を抱えており、これは日本のGDP500兆円の1.4倍にも達する莫大な金額になっているのです。

現在のように、毎年40兆円近い<借金>を増やしていけば、5年後には国・地方併せて借金総額は900兆円を越え、10年後には1,100兆円を超えることになります。
40兆円しか税収がないにもかかわらず、借金総額が1,100兆円にも達する事態に陥るのです。

このように述べる方もいます。
<景気が回復したら、税収も増えるから大丈夫>と。
日本の税収が最も多かった時でも、<60兆円>しか無かったのです。
更に、2006年から人口は減少し、日本は世界で類を見ない超高齢化社会に突入していきます。

厚生労働省が発表しました特殊出生率は、2002年は1.32と、戦後最低を記録し、このままいけば、日本の人口は、そのうちに半減する事もあながち夢ではなくなるのです。

何せ、2002年一年間の日本の人口増加は、僅か17万1,495人になり、増加数は、誤差の範囲内になりつつあるのです。
今年2003年は、2006年を待たずしてマイナスに転じる可能性すらあります。

この中で、果たして税収が、過去最高の<60兆円>を超える事は可能でしょうか?
日本が最も活気のあった時に達成した税収<60兆円>を、今後人口減少下に於いて、果たして達成することは可能でしょうか?

常識的には、人口減少下に於いては、経済活動は止まり、税収も減少していきます。
今の<40兆円>が<30兆円>になりましても、何ら不思議ではないのです。

この異常事態を解決するには、もはや≪国民負担≫しかありません。

何度も述べますが、今まで、国・地方に借金を押し付けて、海外旅行や世界一のグルメだとか、小学生まで携帯電話を持つと言った、分不相応の“極楽生活”を送ってきた日本国民が、今その清算を迫られているだけなのです。

国・地方が、『つけも溜まってきていますので、大宴会は終わりにして、目を覚ましてはどうですか?』となっているのです。
そして、手もみしながら、同時にこのように言ってくるでしょう。
『ところで、懐にしまっているお金も頂戴しますのでよろしく』と。

では、どのような形でこの<資産>移転が、個人から国・地方へ行われるでしょうか?
高齢者が日本の国民金融資産(750兆円余りの現預金)の大半を所有している今、この高齢者が自分の老後の生活の為に、この金融資産を使ってしまう前に、国・地方が“貰う”必要があります。


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