2003年8月15日号

1.本当のGDP成長はマイナスだった?


8月12日に発表されました4−6月期の国内総生産ですが、皆があっと驚く高成長となっています。
まず、以下の数字をご覧下さい。これは、発表された数字そのものです。

GDP成長(名目) +0.1%(年率+0.6%)

<マイナス成長部門> (名目)
個人消費 −0.2%
住宅投資 −0.6%
設備投資 −0.5%
公共投資 −1.5%
輸入 −3.6%

<プラス成長部門> (名目)
政府支出 +0.6%
輸出 +0.5%

新聞報道では、このような見出しが躍っていました。
『個人消費底堅く』(実態は、−0.2%と発表されており、底堅い?)
『設備投資伸び続く』(実態は、−0.5%と発表されており、どこが伸びている?)

このような<マイナス>が圧倒的に多いにも拘わらず、実質GDPは年率2.3%増と発表され(名目は年率+0.6%)、政府関係者も、構造改革が進んできた証拠であると述べています。
では、4−6月期のGDP+0.6%(名目成長率+0.1%)は本当なのでしょうか? どうも、国民の実感からはずれているとしか思えません。

で、ここでこの“からくり”をご説明したいと思います。
ここでは、物価下落等を修正しない実感数字である名目成長率から、実態を見てみたいと思います。

名目成長率<+0.1%>には、上記のGDP統計には表れない≪特殊要因≫があるのです。
『海外旅行の減少』です。
SARS(新型肺炎)の影響で、日本人の海外旅行・出張が激減したことが、統計上は、『サービス輸入の減少』と扱われ、GDP成長には、プラスとして計上される事になっているのです。
このプラス分は、数値にすれば<+0.4%>(名目)となっています。 何のことはない、SARS(新型肺炎)がなければ、名目成長率は<+0.1%>ではなく<−0.3%>になっていた事になるのです。

これなら、国民からすれば『納得』となります。
『成長などしていない、本当はマイナスだったのか』と“安心”している人も多くいると思います。
何故なら、皆がプラス成長をしているのに自分だけ収入が減ったのではない、からです。

統計には、表面では分からない、数々の“からくり”があり、このような統計数字で一喜一憂するのではなく、自分が日々感じている<実感>が、本当の経済になるという事を、今回のGDP統計は、図らずも明らかにしてくれたと言えます。

ところで、以下のような発表もありましたが、これはまず実態を表していると言えます。

関東経済産業局 8月7日発表。
『6月の管内(静岡を含む関東甲信越11都県)の景気動向は5月と同様に「弱含み」との判断』
鉱工業生産指数は、5月に比べ1.3%減少の90.5(2000年を100)、 大型小売店販売額は、前年同月比−2.4%

日本経済を牽引する関東圏の経済状況は、政府発表とは全く違い、落ち込みが益々激しくなってきているのです。
それでも、GDPが成長していると言えるでしょうか?


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