2003年8月15日号

2.日本離れをする中国と米国のアジア戦略


いまだに多くの日本人は、中国を日本より下に見ていますが、アメリカの見方は全く違います。
いまやアジアでは中国は日本を越えた存在として認識しているのです。
貿易赤字も対日赤字より、対中国の方が多くなっています。

中国から見る日本も、よく『金の切れ目が縁の切れ目』といわれますが、日本からの中国向け円借款は25%減額され、1,212億円とされ、今後も更に減額となるはずです。

経団連訪中団も、以前【経済速報】で配信致しましたが、前回は、ぎりぎりまで会談相手が決まらず、今回(8月)は、とうとう見送りになってしまいました。

扇国土交通相の訪中も、最後で何とか中国首脳との会談をセットできましたが、それまでは、局長クラスの会談レベルという有様で、如何に中国が日本を軽く見ているか、よく分かります。
援助を受ける方が上に立っているという不思議な構造があります。
中国のGDPは、今や100兆円を越え日本(500兆円)の20%にまで拡大してきており、政治的にも、米国・ロシアと互角に戦えるだけの力を持っています。

北朝鮮核問題でも、会談は中国の北京で行われますが、会談の主導権は中国が握っており、アジアの大国である日本は、末席で意見を伺うという、なんとも情けない立場に追いやられているのです。

もっとも、この中国も、経済成長水増し問題、失業者問題、電力不足、渇水・砂漠化現象、犯罪の激増等々数々の問題を抱え込んでいますが、それでも、中国は、国家戦略がしっかりしており、着実に前に進んでいっています。
この経済成長率の水増し問題では、曾副首相の弾劾要求が全人代に出されています。
理由は、経済成長率の算出根拠にされてきました内容に嘘があり、これを指摘した 地方政府の幹部に対し、曾副首相は、『経済数字に多少の誤差があるのは当たり前』との発言を行い、これが『職務怠慢』とされたものです。
指摘された“かさ上げ”部分は、32ヶ所にのぼり、中には着工すらしていない投資案件を既に完成済み(投資済み)と報告したり、地方の国民生産の数字を水増ししたりした例があげられています。
この弾劾は、正式に取り上げられていますから、今後の成り行き次第では、曾副首相の辞任にまで発展するかも知れません。

10年、20年後には、この中国は、米国・ロシア・ユーロ諸国と互角にわたり合えるだけの経済力・政治力・軍事力を持つ巨大な国に発展することになるのは必至であり、米国は、その時をにらんだ対策を徐々に取り始めています。
その一例としては、『台湾問題』があります。
歴代の米国大統領は、『台湾問題』は、中国を牽制する意味もあり、二股外交を行ってきていましたが、ブッシュ大統領・政権は、いまや明確に中国重視・台湾軽視策に変わってきています。

それでも、台湾は、米国にすがるしか道はありません。
米国から完全に見放されれば、中国からの干渉をより強く受け、最悪の場合、中国に統一される事になるからです。

この動きは、日本も同じです。
米国のアジア外交・戦略は、いまや、中国を基本に置き日本は脇役に追いやられており、今、日本は米国にとり、単なる【金庫役】という役割しかありません。 そして、いずれは『金の切れ目が縁の切れ目』となり、日本は見捨てられることになるでしょう。

ここで、投資対象としての中国を見ておきたいと思います。
『経済が発展するのなら株式は買いではないか?』との意見もあると思いますが、中国経済の発展と株式の上昇とは、必ずしも一致しません。
何故なら、中国企業の多くは“謎”を多く抱えており、いつ何時、経営破綻を起こし、新興企業に買い取られ、また、新しい会社に生まれ変わって登場(上場)するか、分からないからです。

会計問題、税金問題、法整備の問題等々、株式を投資するには、余りにも不確定要素が多くあります。
発展途上であるが故の弊害かもしれませんが、資産運用の投資とするならば、この不確定要素が消えてからでも、十分間に合います。

『いや、不確定要素が多いからこそ、暴騰する銘柄もあり、うまみも多い』との意見もあるかも知れませんが、ここまでくれば、これは投資という領域から離れ、一攫千金を狙う<万馬券>狙いの投機になります。
投機のリスクは物凄く高く、一般の投資家が手出しする市場ではありません。
リスクを嫌う資産家達は間違っても、このハイリスク市場には手出しをしません。
中国と米国がどのような“戦い”を見せるか、今後数年間は、目が離せないと思っています。


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