2003年8月15日号

5.米国債の急落と資産家の動き


米国国債市場が、8月13日更に急落し、10年国債で利回りが4.57%にまで急上昇してきています。
先の利回りの高値は、4.44%でしたから、これを一気に更新したことになります。

10年国債は、2001年、1998年の節目を抜いてきており、このまま<5%>を越え、ネックラインである<6%>を超える事も想定しておいた方がよい事態になってきています。
先般の最低利回りは<3.0%>ですから、大底から既に<1.5%>もの利回りが上昇したことになりますが、仮に<6%>になれば、利回りが<倍>になるのです。
低金利の恩恵が、全て逆回転をすることになるのです。

住宅ローンの借り換えをして、消費を謳歌してきた米国の中堅層が、今度は膨らんだ金利支払いを前に、破産の危機に瀕することになる時期が近づいてきています。

FRBとしては、何とか金利の上昇を抑えようと必死になっていますが、そもそも、住宅バブルを作ったのが、FRB・グリーンスパン議長であり、バブルを作った張本人が、今度はバブルを崩壊させないために必死にうごめいているのが、今の姿だと言えます。

FRBの統計では、米国民の住宅ローン残高は、今年3月末現在で、6兆2,200億ドル、円に換算して746兆円にも達しており、過去5年間で450兆円以上増加しています。

この膨らんだ<450兆円>で、一般庶民が、所謂、住宅バブルを作り上げ米国景気を支えてきた訳ですが、この5年間に10年国債の金利がどのように推移したか、これを見れば、米国中堅層がいかに低金利の恩恵を受けたか、よく分かります。

1997年末 10年国債利回り 5.5%
1999年 10年国債利回り 7%(最高時)
2003年 10年国債利回り 3%(最低時)

ピークの7%から3%と半分以下に金利が下がったのですから、住宅ブームが起こり、借り換えも誘発し、史上空前の<住宅バブル>が出現したのも頷けます。
この<住宅バブル>は、家具メーカー・電気機器メーカー・自動車等ありとあらゆる分野の需要を刺激し、空前の消費ブームを作り上げたのです。
ところが、ここにきまして、金利が急上昇してきており、今までの<住宅バブル>が<住宅恐慌>に転じる懸念が出てきています。
既に、住宅価格はピークをうち、下落に入ってきています。

シリコンバレーでは、260万ドルの家が100万ドル引きの160万ドルで転売にかけられており、ハワイでも、100万ドルの家が、75万ドルまで引き下げられてきていますが、買い手はいません。

20万ドル、30万ドルの家・コンドは、まだ動いていますが、これも、いずれは、動きが止まり、一転、価格下落に入ることになるのは必至だと言えます。

高金利は、一例を除いて、ほぼ全ての経済活動を破壊に導きます。
そしてこの高金利が、いま、急速に進みつつあるのです。
では、この一例とは?
資産家達です。

既に、経済レポート、経済速報等でお知らせしてきましたが、彼ら資産家達は、ニューヨークダウが1万ドルをつけた後、殆どの投資用株式を売り払い、昨年夏には不動産ブームが現れた際に、投資用不動産も売り払い(希代の投資家であるウォーレンバヘット氏は、まさに不動産バブルが真っ盛りの昨年にREITを売り払っています)、そして今年初めには最後まで残っていた債券を売り払い、今、預金を膨大な金額にまで積み上げているのです。

一部は、現物資産に流れましたが、ポートフォリオ上、50%を越える空前の預金比率になっている資産家が多くいます。
今、絵画・稀少金貨等への資金配分を高めようとしている資産家が多くいますが、殆ど買えない事態を前に唖然としています。
絵画も、AAA級品は殆ど売り物がないのです。
稀少金貨も殆ど売り物が無くなってしまっているのです。

400億円以上の金融資産を持っている米国人がいますが、今、5%の20億円を稀少金貨に配分しようとしていますが、全く買えない事態になっています。
半年前とは、市場は様変わりしているのです。
既に、超資産家達が軒並み購入を行い、売り物をさらっていったからです。

今、投資・金融市場で起こっていることは、<超資産家>対<資産家>の戦いもありますが、基本的には、<資産家連合>対<一般庶民>という図式であり、借金をしまくった<一般庶民>が金利高で破産の危機に瀕し、現預金を積み上げてきた<資産家連合>が、金利高で利息収入を増やし、笑いが止まらないという形になってきています。

資本主義社会とは、弱肉強食社会と言われますが、まさに今後これが見られると思います。
そして、資産家でも、うかうかするとあっという間に没落していく社会でもありますから、資産家達は、皆、必死で情報を集め、勉強・研究をしているのです。

資産を作りたければ資産家につけ】、というのは100年以上も前から言い伝えられてきた名言です。
今後、この名言が非常な重さになってくる時代がくると思います。



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