
<グラフ2-1> |
右のグラフ2-1をご覧ください。
このグラフは90年から2005年までの米国金利(FFレートと公定歩合)のグラフです。
現在起こっています<利上げ>が如何に急激な上昇となっているか、お分かり頂けると思います。
そして、このグラフで一つ異変が起こっていることに気づかれる方もおられると思います。
それは<FFレート:赤い線>と<公定歩合:青の線>の逆転です。
2002年までの金利の上げ下げでは必ずと言って良いほど、<FFレート>の方が<公定歩合>を上回っていたのです。
この理由は、市場金利(FFレート)は銀行への貸し出し金利(公定歩合)より高くて当然だからです。
公定歩合でお金を借りて、市場で運用をして利ざやを稼ぐ。
これが通常の金融市場です。
そして、金融機関の経営が悪化している場合には、この利回り格差を広げ、いわば利ざやを稼ぎやすい金利にして金融市場をコントロールしてきました。
これが中央銀行の役割の重要な役割の一つなのです。
ところが、今回の利上げ局面では、一度もこの基本機能が作用していません。なぜなら、≪金利が逆転している≫からです。
今であれば、銀行は4.25%で中央銀行から資金を借りて、3.25%で運用すると1%も逆ザヤになってしまうのです。
これでは誰も資金を中央銀行から借りようとしません。
結果、金融調節が出来ない異常な事態に陥っているのです。
FRBグリーンスパン議長は、今の長期金利上昇下での短期金利下落は理解できず、謎と言っていましたが、この謎はこの≪金利の逆転≫にある事がグリーンスパン議長は知っているはずです。
なぜなら、このような異常な金利を作り上げた張本人が何を隠そう、グリーンスパン議長本人だからです。
米国の利上げは今後も続きます。その時何が起こるか?
公定歩合引き上げを止めながら、FFレートを引き上げることは不可能ですから、ではどうなるか?
FFレートの猛烈な引き上げになります。
今でも1%の格差が生じているのです。
これを早晩解消し、更には公定歩合・FFレートの引き上げになりますから、常識的にはFFレートは最低でも1.5%は引き上げられ、4.75%になることになります。
これでも公定歩合の引き上げは0.5%に留まります。
仮に、公定歩合引き上げ1%、FFレート引き上げ2%であれば、以下のような金利になります。
これでかなりすっきりした金利になります。
公定歩合を徐々に引き上げながら、FFレートを一気に引き上げていき、正常な金利に修正していくのです。
では、このような<5.25%>の金利で金融市場に何が起こるでしょうか?国債・社債の暴落が起こります。
10年国債であれば、利回りは現在の4%から最低でも6%へ上昇しますから、今から20%以上の価格下落を見せるはずです。
信用度の低いジャンク債の利回りなら、国債が6%以上になるのであれば、上乗せ幅は10%以上はあってよいことになりますから、話題のGMC債の中には利回り20%を越える物凄い利回りになる債券も出てくるでしょう。
そして、この金利の上昇でより大きな影響を受けるのは<景気悪化に苦しむヨーロッパ>と<財政赤字が膨らむ日本>です。
ユーロ諸国のGDP成長率は1.3%に急低下してきており(EU財務相会合)、ドイツ・イタリアなどは金利を引き下げて景気刺激策をとるべきであるとの認識が高くなってきており、欧州議会では公然とユーロを批判し、イタリアリラに戻るべきであると述べて議会から退場させられたイタリアの議員も出てきています。
米国が利上げをする中、ユーロが利下げをすれば、金利差が拡大し、世界の資金はユーロからドルに流れ、結果ユーロは暴落することになります。
ましてや、米国の財政赤字幅が当初予算より1,000億ドル(11兆円)も減少し、3,250億ドル(36兆円)にまで縮小するとの見通しを米議会予算局が公表しているのです。
多くのユーロ諸国は財政赤字を粉飾してユーロ加盟条件を満たしてきましたが、今そのつけが出てきてしまっており、景気が悪いからと言って、財政赤字を増やす政策手段を取れない事態に陥っているのです。
このままいけば米国は財政黒字に転換する可能性すらあり、反対にユーロ諸国は財政赤字で身動きが取れないという最悪の事態に追い込まれます。
そしてこれがイタリアのユーロ脱退運動に火をつけ、更にはドイツにも飛び火すれば、ユーロの崩壊まで一気に突き進んでいくことは必至です。
そのときユーロは暴落し市場から消えていき、ドルは暴騰することになるでしょう。
そして日本です。
もっと恐ろしい事態に陥ることになります。
詳しくは次項にて解説させて頂きます。
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