Vol.32 Apr/ 1/2006


6.家計から消えた<304兆円>と景気回復


日銀が参議院財政金融委員会で発表しましたところでは、1991年から2004年までで実質0%金利で国民が失った<利息収入>は304兆円にも上るとしています。
この計算は、1991年の家計受け取り利子額38兆9,000億円(年利6%)が2004年まで続き、この間の実際の受け取り利息を控除して算出されたものですが、この304兆円が、銀行救済や過剰債務に苦しんだ大企業、借金苦に苦しむ国・地方に移転したのです。

政府は小泉改革の成果で景気は回復したとしていますが、この304兆円(それに借金)があったからこそなのです。

もし、この<304兆円>がなければ、企業の業績回復はあり得なかったでしょうし、金融機関の空前の利益もなかったはずです。

勿論、企業経営者・スタッフの努力もあったでしょうが、最大の理由はこの304兆円もの損を国民がしたことにあると言えるのです。そして、今、逆転が始まろうとしています。


<グラフ5-1>

今まで無利息で虐げられてきた国民が、今度は今まで失った<304兆円>を取り返そうとしているのです。

そして、日本の金融界・企業人の間で『金利上昇が起こったとしても怖くない、業績にも関係ない、かえって貯蓄に良い影響が出て消費も増える』という論調がありますが、右記のグラフ5-1を見てもそうといえるでしょうか?

このグラフは1990年からの<金利の動き>と<借金総額>の推移ですが、1990年には金融機関が取り入れる<無担保ものコール翌日物金利>が8%を越えていたのがお分かり頂けると思います。

仮にこの<8%>で今の国債・地方債の利払いを計算すると・・・。
800兆円 × 8% = 64兆円
日本の税収は45兆円ほどであり、バブル期でも60兆円台です。
利払いだけで60兆円を越えてくるとしたら・・・。

借金の利払いだけで国の税収が全て消えてなくなる状態になるのです。
元本返済? 到底無理な話です。
社会保障? ありえない状態になります。
年金? 年金など払えるお金はありません。
国防? どこにそんな資金がある?となります。

金利が上がると最も困るのが日本政府であり、日銀なのです。
それがいまや現実化しようとしています。

日銀が35兆円にも上る金融緩和を停止し、5〜6兆円の平常金融に戻せば、市場から30兆円もの資金が消えてなくなり、金利も当然上昇に転じます。


<図5-2>

そして、政府・マスコミが述べる<平常経済>に向かうということは、金利が平常に向かうということであり、即ち、1990年当時の8%に向かうということなのです。

この時、国民が200兆円も預けています【郵貯】に何が起こるでしょうか?
右記の図5-2をご覧ください。

昨年9月末時点では【郵貯】は207兆円ありましたが、先般発表されましたところでは200兆円を割り込んできています。猛烈な勢いで【郵貯】から資金が流れ出しているのです。

では、この【郵貯】はどのような運用をしているのでしょうか?
この図5-2のように、国債(116兆円)、財投(60兆円)、地方債(9兆円)、社債(8兆円)、外国債(3兆円)、貸付金(4兆円)、が主な資金運用先になっています。
国債・財投債・地方債・社債・外国債合せれば200兆円もの資金が<固定化>されているのです。国民は今、郵貯から資金を取り出していますが、郵貯は現金を殆ど保有していません。
上記の通り、即、換金できないところに資金を固定化させているのです。

そして、その固定化された金融商品は金利上昇下にあっては、含み損を膨らませていきます。それをいち早く知った個人は【郵貯】から資金を静かに引き出しています。

結果、【郵貯】はどうなるでしょうか?現金化しやすい金融商品から換金し、後に残ったものは含み損を抱えて売るに売れない<国債>等になってしまいます。この行き着く先は?

誰でも分かることになります・・。



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