Vol.60 Jun/ 1/2007


1.総括<お金>


今、日本は<お金>の話題がない日はありません。
生保・損保の保険金未払い問題、年金記録消失問題、公務員が仕組んだ談合問題、公益法人の闇給料支給問題、利権団体からの議員側への膨大な献金、政務調査費のいい加減な流用、外務省在外公館での美術品消滅問題、コストを惜しんで中国等に外注に出していい加減な製品を作り欠陥品で慌てている大会社、少ない給料から毎日数百円を天引きしていた大手派遣会社、介護保険費を不正請求していた大手会社、払える資金があるのに給食費・保育料を払わない親、平気で税金を滞納する国民等々、日々どれかの話題がマスコミで報じられています。

一体日本はどうなってしまったのでしょうか?
今の世の中、生きていくにはお金は必要ではありますが、“汚い形”でお金を得て生活してそれで満足した生き方と言えるでしょうか?

今、問題を起こしているのは、大多数の“お金がない”国民ではありません。
一部の“お金がある<勝ち組>”国民なのです。
問題を起こしていますのは、先日厚生労働省から発表になりました調査報告で60.7%を占めます平均所得(563.8万円)以下の国民ではありません。
下記のグラフ1-1右側の数%の年収1,000万円以上の<勝ち組>がお金の問題を起こしているのです。



また、右記のグラフ1-2もご覧ください。
このグラフで、右端の<生活に大変ゆとりがある:0.5%>と<ややゆとりがある:4.3%>、この4.8%の人、即ちわずかな<勝ち組>層の中の一部が上記のお金の問題を起こしているのです。

年収1,000万円以上を得ていても、『もっとお金をくれ』、『もっと美味しいものが食べたい』、『もっと良いものが欲しい』・・・と。
結果、まともなことでは稼げませんから、悪事に手を染めるか、違法な取引に手を染めるか、弱いものから搾取するしか道はありません。

契約者に払わず保険金をねこばばしていていた保険会社の幹部の年収は最低でも2,000万円以上でしょう。派遣労働者から200円、300円をピンはねしていた派遣会社の幹部の年収も1,000万円以上でしょう。
在外公館に勤める多くの外交官が、国民の税金で買った美術品をねこばばしていた疑惑が国会で取りざたされていますが、疑惑の対象は2,000万円以上の年収がある超エリートばかりです。

大多数を占める我々一般国民には関係ないところで、多くの国民が納めた税金や掛け金が搾取され続けているのです。
日本の景気も回復して国民も裕福になってきたからそんなに目くじら立てなくてもと嘯く輩もいるかも知れませんが、ここで、日本一裕福と思われています東京都民を調べた調査レポートがありますが、驚かれるかも知れません。(東京都が5年ごとに行う福祉保健基礎調査から)

年収

 

 

300万円未満

27.2%

(前回比+9.3)

300万円〜500万円

23.7%

 

500万円? 〜1,000万円未満

30.7%

 

1,000万円〜2,000万円未満

11.5%

(前回比−3.2)

2,000万円以上

1.6%

(前回比−1.7)

未回答

5.3%

 

年収300万円未満の都民が27%を越えているのがお分かり頂けると思いますが、この27%というのは、景気が回復しているといわれ続けてきた2001年調査時よりも9ポイントも増えているのです。
年収500万円以下層は、東京都民の<51%>にも達しており、2001年から13ポイントも増え、日本一家賃・物価が高い東京都で、上記の平均所得(563.8万円)以下の年収層が急増してきていることがおわかり頂けると思います。
これが国民の実態なのです。
スーパーの売上が連続減少しているのも、コンビニの売り上げが落ちてきているのも、新車の販売台数が減少してきているのも、国民の生活が苦しくなってきているからなのです。
大多数の国民の手取り収入が減少し消費したくてもできない事態になっており、ましてや一般国民には利権も汚職も関係ありません。
粛々と仕事をして給料や収入を得るしかないのです。
どんなに苦しくても我慢して生活するしか道はないのです。中には消費者金融から借金をして生活破たんに追い込まれる国民も出てきていますが、大多数の国民は身の丈にあった生活を送っています。

このような中、生活に苦しむ国民(大変苦しい:22.8%、やや苦しい:33.5%)が56%を超える今、一般国民より裕福であるはずの<勝ち組>層がなぜ“汚いお金”を得ようとして蠢いているのでしょうか?
もっとも全ての<勝ち組>が悪いのではありません。
新しく<勝ち組>になった、即ち<新興勝ち組>が今までの【本当の勝ち組】の仲間に入ろうとして、無理をし、もがき、そして“汚いお金”に手を出しているのです。
本当の勝ち組】は汚いお金に手を染めなくても充分余裕があり、少々のことがありましても平然としておれるのです。
ところが、<新興勝ち組>は、一旦“汚いお金”が減り始めるとふところが浅いため、慌てふためきます。
結果、もっともっと“汚いお金“を、となるのです。

ここで今一度、東京都民、中でも勝ち組と言われる<年収1,000万円以上>の収入分布をご覧ください。

1,000万円〜2,000万円未満

3.2ポイントの減少

2,000万円以上

1.7ポイントの減少

年収1,000万円以上の<勝ち組>層が減ってきているのがお分かり頂けると思います。東京都は、日本の金融・経済・政治の中心であり、不動産価格も日本一高く、ホテル代もレストラン代も驚くような価格になっています。
ここで目一杯見栄を張って生活しようと思えば、それは半端な収入では無理なのです。東京で年収1,000万円ありましても、少し見栄を張ればあっという間に消えてなくなります。
バブル崩壊後も今まで精一杯見栄を張って生活をしてきた<新興勝ち組>層の収入が落ちて来ている中、なんとしても“前の良い”生活を維持しようとして“汚いお金”に手を染めてしまっているのです。
分不相応の生活を維持しようとして違法または違法すれすれの“汚いお金”に手をつけてしまっているのです。

中には、消費者金融から借金をして、豪華な生活を維持しようとして、いまや首が回らなくなり、“汚いお金”に手を染める<新興勝ち組>も出てきています。
『1,000万円を超えてそれだけ収入があるのだからなんで汚いお金を?』と一般国民は思うでしょうが、一旦“汚いお金”の魔力に取り付かれた人間は二度とそこから離れることは出来ません。
銀座の久兵衛で一人5万円のお鮨を食べていた<新興勝ち組>は、収入が減ったからと言って、100円の回転寿司屋には行けません。
結果、“汚いお金”を探し求め、深みにはまり込んでいくのです。

例えば、社会保険庁の高級官僚がグリーンピアの建設で何千億円もの散財をして、年金掛け金を吹き飛ばしましても、退官した社会保険庁長官の中で3億円を超える退職金・年金を得て悠々自適な生活を送っている者もいましても、彼らは悪いとは一切思っていないのです。
そもそも悪いという感覚がないのです。
国民が必死の思いで毎月払い込んだ掛け金を自分達官僚(社会保険庁・厚生労働省)のお金・自分達の老後のお金と思いこんでいるために、どのように使って何が悪いとなっているのです。

3億円もの退職金・年金など国民が払い込んだお金に比べたら微々たるものであり、大したことはない、騒ぎもそのうち終わると・・・。
あるグリーンピアなどは、どうしたらそんなに高い畳・内装になるのか?という位べらぼうなお金を払っている事例もありましたが、これが発覚しはじめると、さっさと払い下げをして証拠を消し去っています。
陰で”汚いお金“を得ていたのが発覚することを恐れたからです。

しかしながら、”心の汚さ“は決して消し去ることは出来ません。
このような“汚いお金”を手にした高級官僚達は、国民の怨念を受けて一体どのような顔をして生きていくのでしょうか・・・。そしてどのような死に様となるのでしょうか・・。

また、一攫千金を目指して“汚いお金”の典型的な市場である株式市場に最後の望みをかける<新興勝ち組>も出てきています。
新興勝ち組>は一般国民よりはるかに資金・資産を保有していますから、1,000万円単位の元本を使って数億円という<勝負>ができます。
ところが、結果はほとんどが無残な結末に終わっています。
損を膨らませて、泥沼に落ち込んでいる事例が多くあるのです。
例えば新興市場に上場した株を買っている個人が多いですが、数年もたたないうちに上場廃止処分になったり、いい加減な決算を発表して株価が暴落している事例が多くあります。買ってから半分以下になっているのならまだしも、中には10分の1以下になった株を保有している個人も多くいます。

ところが上場時に株を売って膨大な資金を手にした経営者は何食わぬ顔をしています。
そのような株を買った方が悪いのだ、と言っているかのような態度で平然としているのです。哀れなのはそのような株を物凄い高値で買った個人投資家です。
ばら色の宣伝を聞かされ、株ブームだ、投資ブームだ、と踊らされ、新興株に資金を投入した個人は悲惨な状況になっており、挙句の果てに上場廃止となれば、株券は事実上紙くずと同じになります。

それでも、次から次ぎへとお金を儲けたい一心で株式や外国為替証拠金取引に個人が資金を投じてきていますから、マスコミも業者も誰も一向に気にしません。
『欲に目のくらんだ個人は山ほどいるから構わない』と・・・。
今や損が膨らみ中には数千万円の損を抱えて自宅を失う寸前にまで行く主婦もいると伝えられていますが、相場に手を出している<新興勝ち組>は、「自分には関係ない」とうそぶいて気にしていません。
勿論、相場ですから、うまくいく人もいるのでしょうが、大方は損をして全て失って、そこで初めて金融市場は“汚い”と気づくのです。

また、不動産が上がったから不動産投資を!と走る<新興勝ち組>も多くいますが、不動産ほどイメージと実態の違う“汚い”投資市場はありません。
マンション・アパートのオーナーになる、大家になって毎月定期的な収入(家賃)を得ることができるというと確かにイメージは良いのですが、はたしてすべてがバラ色でしょうか?
右記のグラフ1-3をご覧ください。

これは1960年から2007年までの市街地価格指数ですが、今、6大都市でようやく少し“上がった”ところであり、全国平均はいまだ値下がりしています。
そして新規の賃貸マンションが続々と誕生していっています。
このような中、日本の人口は逆に減少していっているのです。
すなわち大多数の都市で不動産需要は減少するのです。このような中、不動産価格は上昇するでしょうか?
また、異常な低金利が続いた日本ですが、今や金利はじわりじわりと上昇を続けています。(ご参照:グラフ1-4)

不動産投資は20年、30年間にわたり借金を目いっぱいしてレバレッジをきかせてする投資であり、金利上昇時には非常に危険な投資なのです。しかしながら誰もその危険性につき指摘しません。
今でも10年以上経過したマンションには空き部屋が目立ち、家賃を下げたり、礼金なしや仲介手数料半額等といった条件を切り下げるところも出てきています。家賃等の条件を下げないとテナントが入らないからです。

そして今、問題になりつつあるのが<家賃の未払い>です。
これが急増してきているのです。若者や年配者に家賃を払えない人が急増してきており、オーナー(家主)からすれば、借金の毎月の返済はあるのに未収入金が増えて資金が回らなくなってきている<家主>が増えてきているのです。
また、ある不動産会社の経営者の方は、未払いがあるアパートをそのまま“放置”しています。
『数万円の集金に行って刺されたりしたら割があわない・・・』と。

気がついた時には、空部屋や家賃未払いになったマンション・アパートを抱えて途方に暮れる個人があちらこちらに見られることになるはずです。
新興勝ち組>の中には数億円単位の一棟マンションを購入し、家賃の未払い、空き部屋が発生しで膨大な借金を抱え破綻に直面する事例も多く出てくるでしょう。
何せ、収入が減ってきている中、家賃を払いたくても払えないという国民が増えてきているのです。

違法な“汚いお金”に手を染めたり、儲けたい一心でリスクを省みず突進して損をするのも、お金の亡者になっているからです。
綺麗な形でお金を手にすることを“良し”とする一般国民や【本当の勝ち組】だけが生き残る社会は健全であり、今後、そのような社会になっていくことになりますが、この“汚いお金”に手を染めた<新興勝ち組>の淘汰が進むまで、日本国中には<汚いお金>を巡る嫌な報道が相次ぐことになるでしょう。

それが一般国民の心を徹底的に破壊し、政治不信・社会不信に発展し、国民の心を破壊して異常な犯罪を惹起させることになり社会が大混乱するかも知れませんが避けることが出来ないことであり、我々国民はこれを甘んじて受け入れることしかありません。

今や被害にあわないように静かに嵐が過ぎ行くのを待つことしか出来ないのです。


次の項へ→