Vol.69 Oct/15/2007


1.IMFが示した“神話”と金融メルトダウンへの道


IMFは今回のサブプライム問題でありえない試算を行って金融危機はおさまったとしており、世界の金融市場関係者の間では、『とうとうIMFまでが“神話”を信用するようになったのか・・。金融メルトダウンは避けることが出来ない』と危機感を募らせる向きが増えてきています。
このIMF版“神話”とは、以下のようなレポートを指します。

『今後一年間で米国の住宅価格が5%下落しても欧米の主要銀行10行の損失は2,000億ドルにとどまり、株主資本(総額5,000億ドル)からみて十分カバーできる。』
今、米国住宅価格は年率10%を超える勢いで下落しており、来年にかけて20%を超える下落になると見られているのです。

※S&Pが発表しました米住宅価格指数は、7月は<4.5%>の下落となっており、これは16年ぶりの大きさとなっており、今後これが10%、20%超えの下落となると見られているのです。すでに、デトロイト(9.7%)、タンパ(8.8%)のように10%近い下落となっているところもありますが、今後多くの地点で10%を超える下落となるのは必至だと見られているのです。

即ち、仮に今の下落率(10%)で留まったとしましても主要銀行は4,000億ドルの損失を蒙り、自己資本5,000億ドルの80%を失ってしまうことになるのです。
実際には関連金融商品の下落・無価値化もありますから、住宅価格10%の下落で世界主要10行の自己資本は完全に失われてしまうのです。
これがどのような影響を世界の金融市場・経済に与えることになるのか、IMFは真剣な議論をしていません。
実際には『していない』というよりは『出来ない』のです。
なぜなら上記のように住宅価格10%の下落で世界主要10行が経営破綻を起こすことになり金融メルトダウンを誘発することになるからです。
今まで如何に銀行が無茶な融資を行ってきたかこれからもわかりますが、後悔しましても後の祭りとなっています。

現状を何とか改善しようと米国主要3行で共同基金を作り損害が比較的少ない担保証券(RMBS)を切り離そうとしていますが基金の規模はわずか12兆円です。
一桁足らないのではないか?と指摘する専門家もいますが、今、主要3行と言えども資金がなくなってしまっているのです。
FRBが必死で資金供給を行っておりこの甲斐もあり通常のCP市場は徐々に正常に向かっていますが、今回の震源地である肝心の住宅関連証券であるABCP市場は全く買い手がいない状況になったままとなっており、機能停止状態になったままなのです。
100ドルの額面に対して1ドルでも買い手がいない状況になっているのです。
一般マスコミでは金融混乱は収まったと報じていますが『収まった』のではなく、『報じられなくなった』というのが正確なのです。

日本は今回の金融混乱の問題は関係ないという報道が多いですがとんでもありません。
中小企業の社債を束ねた社債担保証券(CBO)がS&P社から9−11段階もの格下げを受け、以下のような価格になってしまっているのです。

AAA格 → ダブルB+   指標価格 82円台
AA格  → シングルB+  指標価格 49円台

AA格なら絶対安全という見方が多くされていましたが、今や半値以下になってしまっているのです。このような<不都合な真実>は殆ど報じられていません。

※今、日本の金融市場で資金難からある大手消費者金融会社の経営破綻の噂が流されており、社債市場では上乗せ金利が急上昇してきています。金融市場関係者は今固唾を呑んで事態の推移を見守っていますが、いつ日本でも金融恐慌が起こっても不思議ではないのです。

いつ、世界的な金融メルトダウンが噴出するか誰にもわかりませんが、今こうしている間にも米国の住宅価格は下落を続けており、時限爆弾は着実に最後の瞬間に向かって時を刻み続けています。


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