Vol.69 Oct/15/2007


2.景気の悪化と壊れる日本人


このワールドレポートでは、日本の景気回復は大企業は実感できているものの中小企業・一般国民は全くと言うほど実感できていないどころかかえって悪化していると指摘し、このようなギャップが続けば日本社会は崩壊すると述べてきましたが、今それが現実化してきており、この事例としては異常な犯罪の多発や荒れる一般国民が増えてきていることがあげられます。
日本社会はもはや手がつけられない事態になってしまっているとも言えるのです。

先日、大阪・寝屋川のセブンイレブンの店員が万引き犯を追いかけていき、犯人の少年に刺殺されましたが、今や『かごダッシュ』という言い方があるほど、コンビニには万引きが横行している実態があります。
この『かごダッシュ』とは、買い物かごに一杯商品をつめて詰め終わったらダッシュして出入り口から逃げるという手口ですが、この『かごダッシュ』で被害にあう金額は一件あたり精々数千円とされていますが、この数千円の犯罪を今や平気で行う若者が日本中に増えてきてしまっているのです。

また、先般、愛知県で起こりました若い女性を拉致して殺害するという凄惨な犯罪も、強奪した金額はわずか数千円であり、このようなわずかな金額で<殺害する>という本来ならありえない犯罪が起こってきているのです。
今、日本では計画して数百万円、数千万円を奪うという本格的な犯罪ではなく当面の生活費・遊ぶお金が欲しくて簡単に行う犯罪が急増してきているのです。
これはそれだけ一般国民、特に若者が日々の生活に余裕が無くなってきている証拠でもあるのですが、年収200万円以下で暮らしたり、ネットカフェ・サウナ等で暮らさざるをえない若者が日々増えてきている今の日本では、この手の容易な犯罪は増えることはありましても減ることはありません。

政治家・官僚・財界人達が黒塗りの車でカーテンをして街中を走り回っている間に、日本国中には些細な犯罪が蔓延し、これがしいては荒れる日本社会を作りだしているとも言えるのです。
国会議員はJAL/ANAに乗れば降りる際には特別待遇を受けており、例えば羽田空港でバスで駐機場からターミナルに移動する際、特別に仕立てられたバスで運ばれていきます。我々一般人は集合バスで運ばれますが国会議員(あと高級官僚と財界人もそのようですが)達は特権階級ということで別扱いなのです。
このようなことで我々一般国民の生活を知ることが出来るでしょうか?
国会・霞ヶ関・丸の内だけが日本の特別な特権地区のようになっている今、ここから見る日本社会はまともな社会とはとても言えるものではありません。

政府・霞ヶ関・丸の内から流されます景気報道では景気は回復しており過去最長の景気回復とされていますが、一般国民の実感としては日々景気は悪化しており、このギャップが精神的に若者等を追い込み、犯罪を助長させているとも言えるのです。
このギャップの実態ですが、一般国民が景気の良し悪しを体感できる指数として【街角景気指数】がありますが、この指数が一体どうなっているのか右記の<グラフ2-1>をご覧ください。

このグラフは2005年からのグラフですが、明らかに2006年春を境にガクンと落ち込み、今やつるべ落としのようになっているのがお分かり頂けると思います。そして今や6ヶ月連続の低下となっているのです。
政府は景気は回復していると一貫して述べていますが、国民は2006年春から景気の落ち込みを肌で感じていたことになるのです。

このガクンと落ち込んだ2006年から今一年半ほど経過したわけですが、国民の生活はこのグラフと同じく落ち込み続けており、もはやまともな生活をするには他人から奪うしか道がない状態に落ち込んでいる国民が多くいるのです。
ある週刊誌の見出しでは医者にかかれない世帯数が480万世帯と報じていましたが、仮に一世帯に2人としても1,000万人近い国民が医者にかかれない状況に追い込まれているのです。
生活保護世帯数も100万世帯を軽く超えたとも報じられていますが、普通に暮らしています一般国民でもかつて見られなかった消費行動に陥っている国民が多くいます。

以下では今日本で実際に起こっています数々の現象を詳しくご覧に入れたいと思います。

1)『自動車新車販売の現場では複数のディーラーを回る若い一見客がこれまでに比べると大幅に減っている』
今や日本の自動車市場は20年、30年前の市場に逆戻りしており、自動車メーカーの中には国内販売から撤退するところも出てくるかもしれません。
中古車登録台数は2007年度上期は1987年上半期以来の低水準に落ち込んでいると日本自動車販売協会連合会が発表しています。

新車では2007年度上期の新車総販売台数は前年同月比8.1%減少の248万4,700台となり27年振りの低水準に落ち込んでおり、しかも今までは<軽>は好調とされていましたが、今や<軽>も上半期としましては4年ぶりに前年を下回る惨状となっているのです。
(ご参照:グラフ2-2)

トヨタの渡辺社長は2006年末に発表しました当初販売計画である172万台につき、『大変厳しい。2007年10月〜12月の販売を前年同月比で10%以上増やして160万台半ば位まで売っていきたい』としており事実上目標を下方修正しており、このままいけば3年連続前年割れとなるのです。
しかも今回掲げました160万台半ばも10%以上“増やして”という前提がついており、実際には上期の販売台数は<7.7%減少:レクサスは除外>の706,328台となっており、単純に計算すれば年間150万台も危ない事態とも言えるのです。
今や、天下のトヨタをしましても新車が売れない事態になりつつあるのが日本の消費の実態なのです。

2)『オフィス市況に変化の兆し』(名古屋)
日本一景気がよいとされています名古屋ですがオフィスビルの9月の空室率が6月に比べ0.4ポイントも上昇し6.6%となり1年3ヶ月ぶりの水準に悪化したとの報道がありましたが、今や名古屋の景気は異常事態に落ち込んでいるとも言えます。
名古屋は景気がよいとしてビルの建築ラッシュとなっていますが、入る企業が減ってきているのです。景気好調報道とは裏腹に業績が悪化してきている企業が増えてきており、固定費を削減し始めており、この影響をまともに受けているのが一般飲食店であり、一般サラリーマンがいくサウナです。
先日名古屋に滞在しました際にいつも行っていますサウナに行きましたが、サウナルームにもお風呂にも洗い場にも誰もいないのです。一瞬目を疑いましたが今までこのような光景は見たこともありませんでした。
いつも指圧マッサージを受けるマッサージ師さんに聞きましたが、『最近このような日が多くて・・・』と嘆いていました。
景気が本当によいのであれば、サラリーマンは飲みにいくでしょうし、サウナにいってマッサージを受けながら一杯ということもあるでしょう。
ところが、名古屋市内でも景気のよい話は全くというほど聞かれないのです。
名古屋市内のタクシー運転手の方に聞きましても、『どこが名古屋の景気がいいの?東京が羨ましいよ』と言われる始末なのです。
景気が悪化すれば在庫であれば叩き売ればなんとか在庫は減らせます。
ところが<ビル>はそうはいきません。いつまでも<空き部屋>となって管理費だけが浪費され続けて不動産会社・ファンドの利益を蝕み続けていき、最後には経営破綻する不動産会社も出てくるはずです。
今回見られます名古屋の異変は今後日本で起こります未来図とも言えるのです。

3)『中堅不動産業績下方修正増える』
*総和地所の2008年2月期の連結経常利益が前期比76%減になると発表
減額の理由:金融機関の住宅ローン審査が厳格化と購入意欲の減退。
*イントランスは2008年3月期の単独経常利益が30%減となると発表
減益の理由:サブプライム問題で不動産ファンドの資金が厳しくなった。

今、金融機関はファンドへの融資選別を厳しくしておりノンリコースローンを絞り始めており、個人向けでも住宅ローン審査を厳格しており、今後日本の不動産市場は大激震に見舞われるのは必至だと言えます。
今までも『即日完売』というマンションもありましたが、これらには色々な“からくり”があり、今そのからくりが破綻してきたところも出てきており、ファンドのマンション・ビル建設も入居率の低下もあり早晩行き詰ります。
作られた不動産バブル”が破綻するのも時間の問題だと言えますが、この破綻の影響は踊った企業・投資家にとり“死”を意味することになるはずですが、一般国民にも影響は避けられません。
なぜならファンドが破綻していけばファンド景気に沸いた不動産・金融界で高給を得ていたサラリーマン達の解雇が続出し、これで六本木、青山、銀座等で見られました浮ついた高額消費景気が一気に冷え込み、高級マンションの売却等も増え、これが一般消費者にも波及し日本経済全体が不況に陥るからです。

4)『民間給与9年連続ダウン』
2006年一年間の一人当たりの平均給与は2005年に比べ19,000円減少の434万9,000円となったと発表になっていますが、この内訳を見れば愕然とします。
年収200万円以下が一年前に比べ42万人増えて1,023万人となり21年ぶりに1,000万人の大台に乗ったのです。
300万円以下となりますと1,740万8,000人と全体に占める割合が一年前に比べ1.2ポイント上昇し<38.8%>となっているのです。
また、一年を通じて働いた給与所得者は4,485万人となり、一年前に比べ9万人減少しており、今の雇用改善がパート・派遣という短期の雇用に傾斜しているのが分かります。
政府・経済界は『雇用は改善した』としきりに述べていますが、確かに失業率は大幅に減りましたが、年収300万円以下の収入層が全体の40%近い今の日本の労働環境は昔の女工哀史と同じとも言える悲惨な状況とも言えるのです。
年収300万円以下では貯蓄など出来るものではなく、余裕がなく満足した暮らしが出来ず生きていくのが精一杯であり、病気・怪我でもすれば生活破綻となるのは目に見えています。このような国民(労働者)が40%近くもいるのが今の日本なのです。

ところが、一方では年収1,000万円以上の層は9万5千人増えて224万人となっており、<勝ち組>も増えているといえるのです。
年収1,000万円以上の勝ち組>が224万人で<年収300万円以下の負け組>が,740万人という日本社会となっていますが今後<年収300万円以下の負け組層>が2,000万人を突破し、労働者の半分が<働けど貧困層>という事態に陥ることは必至と言えるのです。
しかも、この<勝ち組>層には国会議員全員、地方議員、国・地方の高級公務員が多数含まれており、まさに格差社会は≪特権階級社会≫の固定化現象とも言えるのです。
民間人の<勝ち組層>には浮き沈みが激しい金融・不動産関係が多く、今後の経済の激動でここから多くの脱落者が出るでしょうから<勝ち組層>は今後大幅に減っていくことになるのは必至と言えこれが更なる税収の減少に繋がることになります。

5)ファッション業界の不振
ファッション関連業界の業績が一気に悪化してきています。
※卑弥呼(婦人靴専門店)の9月中間決算は経常利益が17%減少
理由は人件費増、天候不順

※パル(ファッション衣料)の2008年2月期の経常利益は14%減少
理由は販売員の人手不足から人件費が上昇

この2社に共通するのは<人件費の増加>です。
今、一般販売の現場では仕事が出来る人手が不足してきており、このため時給が高い派遣等に依頼する事例が増えてきているのです。
今まで時給900円〜1,200円のアルバイト・パートで対応してきた企業が多いですが、今や時給1,500円〜2,000円の派遣を依頼する事例が多いと言われており、このため、人件費負担が急上昇して減益・赤字に転落する企業が出てきているのです。
今まで安い人件費で利益を上げてきた企業が多いですが、今後は人件費増で赤字になり事業が成り立たなくなる事例も出てきます。これが更なる景気の悪化に繋がることになるのです。

6)無視される警察
先日夜11時半過ぎに大阪駅前の曽根崎警察署前の歩道橋を歩いておりましたところ、爆音を響かせながら走ってくるバイク2台がありました。
大阪駅前の曽根崎警察署前を堂々と走る暴走族を一体警察はどうするのか?と見ておりましたが、何も起こりませんでした。
警察は全く無視しているのです。一方暴走族も警察をあざ笑うかのように爆音を平気で鳴らして走っているのです。
普通であれば警察=怖い存在ですが、今や警察など怖くもなんともない連中が出現してきているのです。これでは日本の治安などあってないようなものだと言えます。
確かに表面的には安泰となっています治安ですが、一皮剥けば無法地帯が広がってきているとも言え、今後この無法者があちらこちらで犯罪に走りだした場合、収拾がつかない事態に追い込まれることになります。
日本の治安が崩壊寸前にまできているとも言えます。


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